昨年3月に自殺した京都大工学研究科の男子大学院生(当時29歳)の両親が「アカデミックハラスメント(アカハラ)が原因だ」として、男性指導教授に5000万円の損害賠償を求め神戸地裁尼崎支部に提訴した。京大は両親の主張を受け、08年11月13日付で学内に調査調停委員会(委員長=大嶌幸一郎・工学研究科長)を設置。関係者への聞き取りなどを進めている。 訴状によると、外国生活が長く、日本語が得意でなかった院生は06年4月、英語だけで指導を受けることができるという触れ込みの京大院博士課程に入学。教授の研究室に入ったが、英語による指導はほとんどなかった。 また、教授は院生の建築学の研究を認めず、同年秋ごろ、全く関係のない子供の行動パターンをテーマとした研究をするよう強制。英語での意思疎通がとれず研究方針の指導もないまま、連日事務的な作業を続けるうち神経性胃腸炎を患い、自宅で自殺したという。 両親は、教授の行為は、京大人権委員会がアカハラの例として挙げる「指導義務の放棄」「本人の希望に反する研究テーマを押しつけること」に該当すると主張。「裁判を通じて真相を知りたい。息子のようなことは二度と起きてほしくない」と話している。 毎日新聞は教授側に取材を試みているが、5日時点で回答を得られていない。【田辺佑介】 (毎日新聞 2009年3月6日15時1分配信)
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